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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

仲間達と彼女との再会

                     ≪十月十日≫     ―爾―


   グンゴー・ホテルを覗くと、珍しい集団が目に飛び込んで来た。
 久しぶりのご対面だ。

       鉄心「あれっ、東川さん!」

   後ろから、聞いたような声。
 振り返ると、ホテルの受付に旅人が3人。
 今日到着したばかりなのか、今からチェックインしようとしている・・・・なんと、我等ヒッチハイク協会の、それも大会に出ている仲間達ではないか。
 タイで別れて以来の再会を果たす。
 和智会長がいる。
 千春がいる。
 鉄心に顔も見える。

       和智会長「何だ、いたのか!」
       鉄心  「千春わさ、テヘランでウロウロしていた所を見つけて、拾ってきたんだよ!若狭とも、ネパールで会ったよ!」
       和智会長「予想以上に早く、パスポートやTC(トラベラーズ・チェック)が、戻ってきて今は楽しそうにやってたよ。今頃、Afghan辺りをうろついてんじゃあ・・ないかな。」
       俺   「そうですか。みんな元気そうで。Simbo君も政雄も居るんですよ!」
       和智会長「なんだ!みんなここで合流か!」

   とにかく愉快だ。
 ゴールに向かっている3人の仲間を残して、イスタンブールのホテルで十一人中六人が、再会を果たそうとは・・・・。
 早速、タイ以来の再会を喜び合って、近くの店で一週間早い、ビールでの乾杯とあいなった。

       和智会長「ほらッ!手紙!」
       俺   「俺宛てですか?拾ってきてくれたんですか!有難い!」

   なんと、ニューデリー(インド)で、受け取り損ねた俺宛の手紙、四通を会長が拾ってくれたと言うのだ。
 なんとも嬉しいことではないか。
 両親からと、従兄弟(隆)、一美から二通。
 特に、一美さんからの二通には感激・・・。

                   *

    *一通目

           <VIA AIR MAIL>
                              Sep,20,1976
     To Mr Yoshihiko Higashikawa
      c/o Embassy of Japan
       Plot,No4&5、50-G
        Chanakyapuri、New Delhi INDIA

     いつも きれいな絵葉書ありがとう。
      元気で旅を続けられているようですね。
       珍しい絵画や建物の写真そして
        黒いボールペンの筆跡を眺めながら
         あなたの旅姿を思い浮かべています。
     日本ではもう栗の実が落ちている頃と
      なりましたがあなたの方はこれから
       猛暑の中をヨーロッパ大陸へと踏み込んで
        ゆくわけですね。

     大河、砂漠、密林そして
      見知らぬ人種や言語の渦の中であなたは
       何を考え、何をつかんでいるのか・・・・
        知りたくても出来ない私だけど・・・でも
     これからの旅の幸運を祈っています。
      来週あたり私も仮免試験を
       受けていることでしょう。
         暑いインドで
     秋の京都の夜の絵はがき・・・・
      せめてもの涼になれば幸いです。
       それじゃお元気で!

                               一美



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